日本のエネルギー自給率の3つの課題と4つの自給率改善のための道すじ

日本のエネルギー自給率は、国のエネルギーシステムにおける重要な指標であり、国内エネルギー政策における中心的なテーマの一つです。本記事では、日本のエネルギー自給率に関する課題と問題点を探りつつ、個人レベルでの自然エネルギー活用とポータブル電源が提供する可能性ついて考えます。
日本のエネルギー自給率の現状

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「エネルギー自給率」とは、国内で生産されたエネルギーが国内で消費されるエネルギーに占める割合です。
自給率が高ければ、国内におけるエネルギーが「自給自足」に近いかたちで供給されていることを意味します。一方、自給率が低い場合には、エネルギーを輸入に依存していることを意味します。
日本は、国内のエネルギー資源が乏しくエネルギー自給率が低いことは良く知られています。上図は経済産業省資源エネルギー庁の公式サイトに掲載されている、2019年時点での世界の主要国のエネルギー自給率を表したグラフで、日本のは約12.1%と非常に低水準です。
日本のエネルギー自給率が低い主な要因は、日本のエネルギーが石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料への依存が大きいのに、資源が乏しく自国内で生産できないことが大きな要因です。

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1970年代のオイルショックで化石燃料への依存度は減少しましたが、2011少し下がりましたが、東日本大震災(2011年)以降は化石燃料の使用が再び増加に転じています。2019年度の化石燃料への依存度は84.8%にも達します。
日本のエネルギー自給率の課題

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日本のエネルギー自給率は低い水準にあることから、いくつかの課題や問題点が指摘できます。中でも大きな課題・問題点として挙げられるのは以下の3点です
(1)資源依存の問題
(2)原発稼働停止の問題
(3)CO2排出の問題
資源依存度が大きい
日本は石炭、原油、天然ガスなどのエネルギー資源の多くを輸入に頼っています。このことは、我が国のエネルギー安全保障上の大きなリスクになっています。
すなわち、国際的な「エネルギー価格変動」やウクライナやイスラエルの問題など「地政学的リスク」に対する脆弱性も懸念されており、ガソリンや灯油の値上がり、火力発電による発電コストの上昇による電気料金の値上げなど我々の身近でもその影響が顕著に現れています。
原発事故の影響による自給率の低下

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福島原発事故を受けて原発の一部が停止されたことは、我が国のエネルギー政策に大きな影響が生じました。エネルギー供給における原子力発電の想定割合を賄えなくなった結果、電力需給が逼迫し、政府から企業や個人に対して節電要請が成される事態に陥っています。
福島の原発事故を契機に反原発の機運も増しており、原発再開もままならない状況下で、いかに原発で賄っていた電力を補填するかが大きな問題となっています。
CO2排出と環境への影響
CO2排出とその環境への影響は、現代社会における最重要課題の一つとなっています。
化石燃料の使用が主要なエネルギー供給源であるため、高いCO2排出量が懸念され、禁煙の気候変動の進行に伴い、国際社会全体で温暖化対策が急務となっており、CO2排出に対する気運が高まっています。
国際社会では気候変動への対応がますます重要視されており、パリ協定などの国際的な合意に基づいて温暖化ガスの排出削減が進められています。世界の主要な国々は、温室効果ガスの削減目標を掲げ、再生可能エネルギーの推進や省エネルギー政策を採用しています。
しかし日本においては、火力発電が発電の大きな割合を占めることから、思うようにCO2削減が進まない要因となり兼ねません。エネルギー供給の主要な要素であり、一部の火力発電所は高いCO2排出量を持っています。これは気候変動と環境への影響を懸念する要因となります。
高効率火力発電への移行、CCS(二酸化炭素回収貯蔵)技術の導入、そして再生可能エネルギーの普及など、様々な取り組みによって国際社会と歩調を合わせてCI2削減に取り組む必要があります。
日本のエネルギー自給率を改善する4つの道すじ

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日本の低いエネルギー自給率については、国の財政面や、エネルギー安全保障の面からも放置することはできません。
我が国のエネルギー自給率を改善するためには4つの方法が考えられます。
(1)自然エネルギーの活用
(2)エネルギー効率の改善
(3)原子力発電所の再稼働
(4)省エネルギー政策
自然エネルギーの活用
以上のような情勢の中、我が国のエネルギー自給率向上のためには自然エネルギーの活用が重要な解決策となります。太陽光発電や風力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーは、日本のエネルギー自給率を向上させる大きな要因です。
太陽光発電と風力発電
再生可能エネルギーと聞くと真っ先に思い浮かぶのが「太陽光発電」と「風力発電」です。大規模なソーラーパネル設置や巨大なプロペラによる太陽光・風力による発電の現場を目にすることも増えています。
水力発電
河川の多いわが国において「水力発電」は長らく使用されてきた再生可能エネルギーです。水力発電はエネルギー供給源として安定しているため持続可能なエネルギー源として重要と考えられます。
地熱発電
地熱エネルギーは、地中の熱を利用してエネルギーを生産する方法で、地熱発電所がCO2を排出せずに電力を供給します。東北など地熱利用が活発な地域では、地熱エネルギーの利用が増えつつあります。
バイオマスエネルギー
バイオマスエネルギーは、生物由来の材料を燃料として使用する再生可能エネルギーです。
バイオマスは成長過程で大気中のCO2を吸収するため、バイオマスエネルギーを使用する際に排出されるCO2は再放出となるため総合的に「炭素中和」が実現されます。このため、バイオマスエネルギーは化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の代替として期待されています。
エネルギー効率の改善・向上
限られたエネルギー資源を効率よく使用し最大限の生産性や効果を得るためには、エネルギー効率の改善・向上が不可欠です。
同じエネルギーでもより多くの価値を生み出すため、産業プロセス、建設、輸送などの幅広い分野でのエネルギー効率を改善する取り組みが必要です。
原子力発電所の再稼働
原子力発電所の再稼働もエネルギー自給率改善の大きなピースです。
現在停止している原子力発電所が再稼働することで、日本のエネルギー自給率は大きく改善する可能性があり、加えてCO2排出量が極めて小さいことから地球温暖化の問題にも一定の答えを出せる発電方法と言えます。
反面、原子力発電所の安全性についてはいまだ疑問の声があがっており、原発再稼働は必ずしも国民の総意とは言い難い側面を持っています。この辺りの問題をクリアできれば、原子力発電はエネルギー自給率の改善に大きな役割を果たす可能性があります。
省エネルギー政策
産業、建設、輸送などの各分野で省エネルギー政策を推進する必要がある事に加え、一般市民の省エネや節電などエネルギー効率改善に対する意識の向上を促進する必要があります。
2022~2023年に実施された政府による「節電ポイント」などの施策は、一般市民に「節電」への取り組みを促す一定の効果があったとされていますが、大きな予算を必要とすることから継続的な実施は望めず、持続可能な節電促進対策が望まれています。
個人でもできる電力自給率改善への取り組み

国民一人一人がエネルギー問題に目を向け、「節電」や「電力自給」を心がけることも必要です。国や自治体、電力会社任せにせず、自らの電力を作り出すことは、国のエネルギー自給率に無関係とは言えません。
個人レベルで自らが消費する電力の一部でも賄うことができれば、その分、電力会社から供給する電力量が少なくて済みます。多くの人が電力を自ら賄えば、それだけ電力需給に余裕ができ、ひいては国としての自給率を改善することにも繋がります。
そうした意味で、ソーラーパネルとポータブル電源による個人の電力時給は、国全体のエネルギー自給率向上に向けた有望なメソッドと言えます。
再生可能エネルギー利用による自家発電
継続的に自宅で使用する電力を自家発電で賄うことは、個人でできるエネルギー自給率改善の基本と言えます。中でも、ソーラーパネルによる太陽光発電は個人でできる自家発電の最も身近な方法です。
庭やベランダなどに設置したソーラーパネルによって簡単に太陽光を電力に変換して利用できるため、一般家庭でも取り組みやすいのが特徴です。太陽光は無限に利用可能である上、現在社会の大きな関心事となっているCO2排出がほとんどないため、環境への影響を最小限に抑えられることも個人が取り組みやすい要件の1つです。
さらに、ポータブル電源を組み合わせることで、自ら生み出した電力を蓄えておくことが可能となり、時間と場所を任意で選んで蓄電した電力を使用することができるようになります。平時はもちろん、災害時・緊急時にも一定の電力を保持・供給可能です。
こうして、個人が自ら生み出した電力を任意の場所や時間に使用するで実現される「節電」は、より多くの人が取り組むことで国全体の電力消費を抑えることとなり、CO2削減、エネルギー自給率の向上などを期待できます。
電力需給の安定化
「円安」「原油価格の高騰」「地政学的リスク」などによって、我が国の電力需給はかつてないほど不安定化しており、2022年~2023年にかけては政府から企業や個人に対して「節電要請」がなされるなど、電力需給の逼迫が深刻化しています。
小規模な個人であっても、多くの人がソーラーパネルによって発電された電力をポータブル電源に蓄電しグリッドからの電力消費を抑えることができれば、電力需給を安定化させるのに大きく寄与します。
非常用電源としての利用
ポータブル型の電源やソーラーパネルは移動性に優れており、キャンプ、釣り、車中泊などアウトドア活動での親和性が高いことは知られていますが、アウトドアに限らず災害対策や節電などの場面でも活かされます。
昨今は自然の猛威を感じさせる事象が多発しています。温暖化による台風の大型化や、各地で頻発している地震は近い将来の大規模地震が想定されています。そうした大規模災害時にはライフラインたる電力の供給停止(停電)が懸念されます。
ソーラーパネルとポータブル電源による電力自給と蓄電は非常用電源として機能し、災害時や緊急時に行政による救援の手が及ぶまでの72時間(※)に最低限必要な電力を賄う方法として有望です。
通信手段としてのスマートフォンの充電、夜間の照明、夏には扇風機、冬には電気毛布など暑さ寒さから身を守る家電を動作させることも可能です。また湯沸かしや簡単な調理まで電力を自給できることは、災害時に自分や家族の身を守るために必要な対策と言えます。
※大災害発生から行政などの救援の手が個人に届くまでにおおよそ3日間(72時間)かかると言われています。それまでの間は「自助」(自分や家族の安全や生命を守ること)が基本となります。
ポータブル電源とソーラーパネル購入時の注意点
それでは、実際にポータブル電源とソーラーパネルを購入する際にどんなことに注意すればよいのか考えてみましょう。
ソーラーパネルの種類とおすすめ
ソーラーパネルにはいくつか種類があります。
一つ目は、素材や形状の違いです。
ポータブル型ソーラーパネルの多くは「結晶シリコン」製で、より純度が高く発電効率が高く見た目も美しい「単結晶シリコン」と、単結晶シリコンの製造過程ででる端材を使って製造される「多結晶シリコン」製があります。また、化合物で作られたパネルもあり、「CIGS」パネルは、銅・インジウム・ガリウム・セレンの化合物半導体から作られています。
また、形状にも種類があって板状のパネルや、携帯性に優れる折りたたみ式、曲面などにも設置できる薄く柔軟性のあるフレキシブルタイプなどがあります。
家庭用、アウトドア向けとして使用するのであれば、「単結晶シリコン製」の「折りたたみ式」が、発電効率でも携帯性でも優れているのでおすすめです。
二つ目は出力(発電能力)の違いです。
小さいものは50~80W程度から、大きなものは400W程度の出力のソーラーパネルが販売されています。
ポータブル電源との相性の問題もあるので、必ずしも大きければよいというものではなく、1000Wh未満の小型ポータブル電源には100~200W程度、2000Wh未満の電源には200W前後、2000Wh超の大型電源の場合は300~400W程度の出力のソーラーパネルを組み合わせるとよいでしょう。
BLUETTIでは様々な出力のソーラーパネルをラインナップしています。
ポータブル電源はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーがおすすめ
ポータブル電源は採用する電池の種類によって安全性や寿命に違いがあります。
BLUETTIが採用する「リン酸鉄リチウムイオン電池」は、エネルギー密度が低く優れた熱安定性に優れるため、発火・爆発の危険性が非常に低く安全性の面で優れています。
また、繰り返しの充放電に強く2500~3000回もの充放電(充電サイクル)が可能な長寿命を誇ります。毎日充放電を繰り返しても7~8年もの長期間に渡って使用することができます。
BLUETTIポータブル電源の現行ラインナップでは全機種がリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しています。
【おすすめポータブル電源】
そんなBLUETTIのポータブル電源のイチオシ機種は『AC180』です。
AC180は、今年2023年に発売になったばかりの最新モデルですが、BLUETTI伝統のリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し安全性と長寿命を担保しています。
また、質感の向上も目覚ましく、静音性にも配慮していて充電中でも驚くほど静かです。
AC180の充電容量は1,152Wh、出力は定格1,800W/瞬間最大2,700Wの大容量高出力モデルです。容量がちょっと足りない…と感じるかもしれませんが、そこはぬかりはありません。
実はAC180は別売の拡張バッテリーからの充電を受けることで、最大4,224Whもの容量を使うことが可能なので容量不足を感じることはまずないはずです。また出力に関しても1クラス上の1800Wもの定格出力を持たせることで、容量拡張後でも出力不足にならないようはじめから高出力設計になっています。
【おすすめソーラーパネル】
電力自給にトライする場合、欠かせないのがソーラーパネルです。
AC180に組み合わせるソーラーパネルは『PV350』が最適です。
PV350は「単結晶シリコン」製の三つ折り式のポータブルソーラーパネルで、好きな場所に展開していつでも太陽光発電からAC180に充電することが可能です。
PV350は23.4%の高変換率で、限りあるパネル面積から最大限の電気を生み出すことができます。サイズは収納時には905x613mmと出力の割にはコンパクトに折りたたむことができ、重量も13.9kgと軽量化が図られています。
ソーラーパネルの発電量は天候や季節に左右されますが、平均すると5~7割程度と見込め
るので1時間当たり210Whほどの発電できるため、AC180を7時間あまりでフル充電することが可能です。
電力自給を考える場合、使った電力は翌日のうちに回復できなければ、徐々に蓄電量は減少しいずれ枯渇してしまいます。
使った分をすぐに回復できるからこそ、持続可能な電力自給のサイクルが成立するのです。このことは電力自給を考える上で非常に重要な要素です。
我が国の電力自給率の課題と対策 まとめ
資源に乏しく、電力消費が多い我が国のエネルギー自給率は低くて当然と言えます。
とはいえ、低い自給率のままでは、国際的なエネルギー価格の高騰や地政学的リスクに大きく影響を受け、国民生活にも厳しさを増しています。
しかし、現在はソーラー発電を筆頭に、自然エネルギーを電気に変換する技術が発達したことにより、鉱物資源の少ないわが国でもエネルギー自給率を改善できる可能性がたかくなりました。
国としての取り組みはもちろん重要ですが、個人や一般家庭における自家発電に多くの人が取り組むことで相対的な電力消費量を抑制することが可能です。それは、国としてのエネルギー自給率の改善にも繋がり、引いては、CO2排出の減少や国際的なリスクへの強靭化にも繋がります。
個人レベルで見ても、電気料金の抑制(節電)を実現し、災害などの緊急時にも電力を確保でき、アウトドアなどのレジャーで活用することも可能です。

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