「再エネ賦課金」ってご存知ですか?
電気料金に上乗せになって取られている「ちょっとよく分からない金額」程度にしか認識されていませんが、実はこの「再エネ賦課金」は非常に重要なのです。
今回はこの、「再エネ賦課金」について解説します。
再エネ賦課金とは?
正式には『再生可能エネルギー発電促進賦課金』といい、「再エネ賦課金」「再エネ促進賦課金」などと省略して呼ばれます(ここでは「再エネ賦課金」で統一します)。
ちなみに『賦課金』とは、「割り当てられて負担する金額」のことで税金や会費などがありますが、ここでは税金の一種だと考えて置けばよいでしょう。
実際の賦課金額については、各家庭の電気料金の内訳の中に記載があるので確認してみてください。
再エネ賦課金の目的
それでははじめに、再エネ賦課金は何のために徴収されているのかをおさらいしておきましょう。
火力発電 |
72.9% |
太陽光発電 |
9.3% |
水力発電 |
7.8% |
原子力発電 |
6.9% |
バイオマス発電 |
2.9% |
風力発電 |
1.5% |
地熱発電 |
0.1% |
合計 |
100.0% |
そもそも、家庭や会社・工場などで使用する電気を作るには「発電」しなければなりませんが、わが国では発電の70%超を「火力発電」に依存しており、再生可能エネルギー発電の割合が低い特徴を持っています。
画像出典:経済産業省資源エネルギー庁
現在、世界的に見てもCO2などの温室効果ガスの排出を抑え低炭素社会を目指し地球温暖化を防止しようという大きな流れになっているのはご存知の通りです。
さらにわが国では、2011年に発生した「東日本大震災」で多くの原子力発電所が停止したことを受け、再生可能エネルギー発電の拡充を急ぐ必要もあり、2012年には「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)」が開始され、『再生可能エネルギーで発電した電気を買い取る』ことになりました。
しかし、はじめのうちはどうしても原子力や火力、水力発電に比べてどうしてもコストが割高になってしまうため、再生可能エネルギーを買い取るための費用を広く国民みんなで支えましょう…というのが「再エネ賦課金」です。
再エネ賦課金の推移と今後
画像出典:四国電力
「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)」施行後は、年々、再エネ設備容量(発電能力)は増加しています。
2012年に「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)」が施行されて以降、再エネ設備容量(発電能力)は年平均26%増となっています。
画像出典:四国電力
反面、再エネで作り出される電力量の増加に伴って、「再エネ賦課金」も増加してしまいました。
単位:円/1kwあたり
「FIT法」が施行された2012年度には1kwあたり0.22円でしたが、再エネによる発電量の増加に伴って年々増加し、2022年度には3.45円まで高騰しました。月間260kwを消費する標準的な世帯で年間260kw×3.45円×12ヵ月=10,764円です。
しかし、2023年度には「FIT法」施行以来はじめて「再エネ賦課金」の単価が下降したことによって、260kw消費の家庭で月額約530円、年間で6,000円あまり電気料金が安くなりました。
再エネ賦課金は値上げになる?今後の見込み
2023年度に再エネ賦課金額が下がった要因を考えれば、2024年度の賦課金額の大まかな予想ができます。
FIT法に基づいて「固定価格買取制度」で買い取られた再エネ発電による電力は、「日本卸電力取引所」の取引価格で売却されますが、買取り時の価格よりも安く売却されるため、その差額分を「再エネ賦課金」で補填するカタチになります。
2022年度はロシアのウクライナ侵攻や円安などによって燃料価格が高騰し、電力取引価格も高値で推移していたため、固定価格買取制度で買い取った電力を高値で販売することができました。
そのため再エネ賦課金による補填額が少なくて済んだため、その翌年に当たる2023年度の再エネ賦課金単価が大幅に下落する結果となりました。
では、2023年度の状況を見た場合、電力取引価格が落ち着いており、昨年に比べて半分~1/3ほど安い金額で推移しています。
このため、再エネ賦課金が再び上昇に転じる可能性が高いと予想することができます。
もちろん、あくまで電力取引価格を元にした筆者の推測に過ぎないため、再エネ賦課金が100%上昇するとは断言できませんが、再上昇の可能性は高いと言えます。
再エネ賦課金の負担額を減らすには
再エネ賦課金の負担額を減らすのは実は簡単です。単純に節電するだけです。
再エネ賦課金は、消費した電力量に応じて徴収されるので、電気使用量が少なければそれだけ再エネ賦課金の徴収額も少なくなります。
例えば、月間の電気使用量を50kw節減した場合、賦課金単価が2.4円(※)だと仮定すると、賦課金額は120円減額となります。年間で1440円の節減になります。
※仮に2022年度(3.45円)と、2023年度(1.4円)の中間値として2.4円で計算しました。必ずしも20214年度の再エネ賦課金額が2.4円になる保証はありません。 |
再エネ賦課金の負担額を減らす方法
再エネ賦課金の負担額を低減する方法はたった1つです。
それは電気料金の節減です。
再エネ賦課金は、電気使用量に応じて賦課されていますので、電気使用量を減らせばそれだけ再エネ賦課金の額も少くなります。電気使用量を減らすということは、電気料金の低減になるので、言い換えれば、電気料金を節減することが再エネ賦課金の負担額を減らすことに繋がります。
画像は9/16~10/15の1か月間の実際の電気契約明細です。
前述のとおり、2023年度の再エネ賦課金単価は≪1.4円/1kw時≫ですので、電気使用量214Wh×1.4円=299.6≒299円が賦課されています。
電力自給による電気料金節減
それではどうしたら再エネ賦課金の負担額を減らす、つまり、電気料金を低減できるのかを考えます。
電気料金を払いたくないのであれば、電気を買わなければよいのですから、電気を購入先を割安料金の新電力会社に切り替えるのも1つの方法です。
また、「電力の自給」も電気料金低減のための1つの方法です。
最も一般的な電力自給の方法は「ソーラー発電と蓄電」です。ソーラーパネルの太陽光発電で得た電力を蓄電池に貯めておいて、必要な時に、必要な場所で取り出して利用することで、電力の自給が可能となり、電力会社に支払う電気料金を低減することができます。
太陽光発電で自ら得た電力は誰にも料金を支払う必要がなく、結果として、再エネ賦課金の負担額を少なくすることが可能となります。
簡単に手軽に始められる太陽光発電・蓄電
自宅屋根に何枚ものソーラーパネルを接地して大型の蓄電池に電気を貯めておくような「家庭用太陽光発電システム」うな大規模な設備は、数十万円から100万円ものコストがかかりますし、マンションなどには設置しにくいケースがあります。
もっと簡単に手軽に太陽光発電を生活の中に取り入れて、電力会社から購入している電力の一部を自家発電で賄うような方法を紹介します。
ポータブル(持ち運び可能な)蓄電池やソーラーパネルを使った電力自給です。
ポータブル電源とソーラーパネルによる太陽光発電・蓄電であれば、大規模な設置工事は必要なく、ケーブルでパネルと電源を接続し、パネルに日差しを当てるだけですぐに発電・充電することが可能です。
ポータブル型ソーラーパネルの発電量
コンシューマー向けのポータブル(折りたたみ)式のソーラーパネルは、最大でも400W程度の出力のものが最大で、100~200W出力の製品が一般的です。
一般的にソーラーパネルの実際の発電量は、仕様上の最大出力よりも小さく、晴天時でパネル全体に太陽光が当たっている状態でも夏場で70~80%、冬場では50~70%程度です。年間トータルでの発電量は最大出力の70%と見ておくべきです。
平均発電量70% |
日照5時間 |
月間発電量 |
|
400Wパネル |
280W |
1400Wh |
33.6kwh |
200Wパネル |
140W |
700Wh |
16.8kwh |
100Wパネル |
70W |
350Wh |
8.4kwh |
こちらは3種類の最大出力のソーラーパネルの平均的な発電量(最大出力の70%)、日照時間での発電量、月間発電量(最大発電量の80%)を一覧にしたものです。
400Wパネルを事例に説明すると、1日の日照時間が5時間程度とした場合、最大出力400Wクラスのソーラーパネルが発電できる最大電力は1400Wh、1か月間30日毎日発電量の80%を家庭の電気消費に充当できた場合、約33.6kWhの電気使用量節減になります。
同様に200Wパネルでは16.8kwh、100Wパネルでは8.4kwhを節電できることになります。
電気使用量を低減した分だけ再エネ賦課金の負担額は減少するというわけです。
おすすめポータブル電源とソーラーパネル
家庭での簡易的なソーラー発電・蓄電による電気使用量の低減、電気料金の削減におすすめのポータブル電源と、ソーラーパネルを紹介します。
【BLUETTI AC200L】
BLUETTIの AC200Lは、今年2023年冬に発売となったばかりの新製品で、充電容量2,048Wh、定格2,000W瞬間最大3,000W出力、さらに電力リフト機能により定格出力を超える消費電力の家電でも、最大3,000Wまで出力可能です。
さらに、バッテリー拡張が可能で、同社の「B210」「B230]「B300」といった拡張用バッテリーを接続することで、最大8,192Whまで容量を拡大することが可能です。
ソーラー入力も拡大され、最大145V・1200Wの入力が可能なので、大出力ソーラーパネルを複数枚連結して充電することが可能です。同社の350Wパネル「PV350」を3枚連結しての大容量充電(※)が可能です。
前述の想定で言えば、350W×3枚×70%出力×日照5時間×30日×80%使用で『88.2kwh』の電力を生み出して蓄電することが可能です。
再エネ賦課金まとめ
今回は、再生可能エネルギーによる発電促進のため、国民が負担している「再エネ賦課金」について取り上げました。
火力発電や原子力発電に比べると、まだまだコストが高く賦課金による補填が必要であることはわかりましたが、地政学的要因や円高など様々な要因による諸物価高騰の折、少しでも支出を低減したいのも事実です。
小規模ながら、ポータブル電源やソーラーパネルによって少しでも電力を自給することで再エネ賦課金の負担額の軽減を図ってみてください。