最初の大きな揺れで食器棚が倒れ、割れた皿やガラスで足の踏み場がなくなる…。想像しただけでヒヤッとしますよね。とくにキッチンは、火気や刃物、ガラス製品が集中する場所。ここが無事かどうかで、その後の生活のしやすさも大きく変わります。この記事では、今日からできる食器棚まわりの地震対策と、停電しても暮らしを続けやすくする備え方をまとめました。読めば、自宅のキッチンを「安全で動きやすい空間」に近づけられるはずです。
なぜ食器棚の地震対策が重要なのか
大きな地震では、家屋の倒壊だけでなく「家具の転倒」「収納物の落下」によるケガが少なくありません。とくに背の高い食器棚は、
- 本体そのものが前に倒れてくる
- 扉が開き、中の食器が一気に飛び出す
- ガラス扉が割れ、破片が床に飛び散る
といったリスクがあります。
キッチンは出入口が一つだけという間取りも多く、「倒れた食器棚が避難経路をふさぐ」ケースも考えられます。また、コンロや電気ポットまわりに割れたガラスが散乱すると、火傷や転倒の危険も高まります。
だからこそ、
- 食器棚そのものを倒れにくくする
- 扉が勝手に開かないようにする
- 中身やガラスが飛び散らないようにする
この三つをセットで考えることが大切です。
食器棚の倒壊を防ぐ|固定・設置の基本テクニック

まずは、大きなケガにつながりやすい「本体の転倒」を防ぐところから整えましょう。
壁と一体化させるイメージで固定する
もっとも安心感が高いのは、食器棚を壁としっかり連結してしまう方法です。
- L型金具で、棚の上部と壁をネジで固定する
- ベルト式の固定具で、棚と壁(または下地)をつなぐ
などの方法があります。突っ張り棒だけに頼るより、金具とネジでの固定を組み合わせた方が、揺れに強いとされています。
持ち家であれば、下地のある部分にビス止めするのが基本です。賃貸で穴をあけづらい場合は、
- 石こうボード用のホチキス針タイプの金具
- 天井との間にかませる上置き収納+転倒防止機能つきの家具
など、「原状回復しやすい」タイプも検討してみてください。
突っ張り棒・耐震マットで揺れを減らす
壁固定が難しい場合でも、できることはあります。
- 天井と食器棚の間に「家具用の突っ張り棒」を入れる
- 食器棚の足元に「耐震マット」「耐震ジェル」「すべり止め付きの台」を敷く
といった方法は、賃貸でも取り入れやすい定番です。
ポイントは、
- 家具と天井・床のサイズに合った製品を選ぶ
- 貼り付け面のホコリや油分を拭き取ってから設置する
- 一度付けたら「付けっぱなし」にせず、半年〜1年に一度はゆるみをチェックする
といった「ひと手間」を惜しまないことです。
レイアウト自体を見直す
つい見落としがちですが、家具の配置を変えるだけでも安全性は変わります。
- 寝室や子ども部屋の出入口付近には背の高い家具を置かない
- 避難時に通るルート(玄関〜廊下〜キッチン)は、倒れた家具でふさがれないようにしておく
- 食器棚の上に電子レンジや重い家電を重ねて置かない
こうした「動線目線」でキッチンを眺めると、改善ポイントが意外と見えてきます。
建物タイプ別の注意
持ち家(鉄筋コンクリート)では壁にビス止め可能ですが、賃貸や木造の石膏ボード壁では穴あけ不可の場合が多いので、ホッチキス針タイプの金具や突っ張り棒を代替に。木造は揺れが増幅しやすいため、耐荷重の高いベルト式を推奨。
扉の開放・落下・ガラス飛散を防ぐ収納&保護テク

本体を固定したら、次は「中身」です。揺れのたびにガチャガチャ動くような収納だと、どうしても割れやすくなります。
重いものは下へ、軽いものは上へ
基本ですが、改めて徹底しておきたいのがこのルールです。
- 鉄板・土鍋・大皿など重いもの → 一番下の引き出しや下段
- プラスチック容器・紙皿など軽いもの → 上段
こうすることで、家具全体の重心も下がり、転倒しにくくなります。地震対策としても、収納のしやすさとしてもメリットが大きい方法です。
ファイルボックスで「立てて収納」する
平皿を高く積み重ねると、揺れた瞬間に横滑りしやすくなります。そこで便利なのが、書類用のファイルボックスです。
- 平皿やトレイを、1枚ずつ立ててファイルボックスに入れる
- ボックスごと棚に並べる
この方法なら、揺れても皿同士がぶつかりにくく、もし割れても破片がボックスの中に収まりやすくなります。
すべり止めシート・マットを敷く
棚板の上に、すべり止めマットを一枚敷くだけでも、揺れたときの「ズズッ」という横滑りがかなり減ります。
- ロールタイプのすべり止めシート
- 食器用の耐震マット(ジェルタイプ)
などは、100円ショップやホームセンターで手軽に手に入ります。サイズを自由にカットできるものを選ぶと、棚の形に合わせやすくて便利です。
扉のロックと「耐震ラッチ」
忘れてはいけないのが、扉の開閉対策です。揺れた瞬間に扉が開くと、食器が勢いよく飛び出してきます。
- 子ども用ロックとしても使える「扉ロック(バンド式・回転式)」
- 地震の揺れを感知すると自動でロックする「耐震ラッチ」
といったグッズを、観音開きの扉や引き出し部分に取り付けておくと安心です。
最近の食器棚には、最初から耐震ラッチが付いているものも多いので、一度自宅の棚をチェックしてみてください。
ガラス扉には飛散防止フィルム
ガラス扉つきの食器棚には、「飛散防止フィルム」を貼っておくと、割れたときに破片が飛び散りにくくなります。
- 厚さ50 μm(ミクロン)以上のフィルムが推奨されることが多い
- 透明タイプなら見た目もほとんど変わらない
といった情報も、防災関連のコラムで紹介されています。
「ガラスにフィルムを貼るのは難しそう…」と感じるかもしれませんが、最近は気泡が入りにくいタイプも増えています。休日に一枚ずつ、窓シートを貼るような感覚で進めてみても良いと思います。
あると心強い耐震グッズとプチプラアイテム
地震対策グッズは種類が多く、何からそろえるか迷ってしまいがちです。ここでは、用途ごとのざっくりしたイメージを整理しておきます。
| アイテム | 値段の目安 | 購入場所 | コスト抑制の工夫・注意点 | 設置の手間の目安 | 賃貸で使いやすいか |
| 突っ張り棒(家具用) | 1,000〜2,000円 | ホームセンター、100円ショップ | 耐荷重を確認。安い物は滑り止めゴムが弱かったりするので併用を。 | 中 | ○(跡がつきにくい) |
| 安全固定ベルト・L字金具 | 約1,500〜3,000円 | 金物店、ネット | 壁の下地/素材に合うネジを使うこと。賃貸の場合は原状回復可能なパーツを選ぶ。 | やや高い | △(原状回復に注意) |
| 耐震マット・ジェルシート | 500〜1,500円 | ホームセンター、ネット | サイズが大きめのものを切って使うと安く済む。粘着力の劣化に注意。 | 低 | ○ |
| 扉ロック・子ども用ロック | 300〜800円 | 100円ショップ、ネット通販 | 回転式やバンド式で高齢者にも扱いやすい設計を選ぶ。 | 低〜中 | ○(貼り付けタイプも) |
| 飛散防止フィルム(食器棚ガラス扉用) | 約1,000〜2,000円/0.5㎡程度 | 通販、DIY用品店 | JIS適合品を確認。厚さ50μmくらいから。大きな面なら業者施工を。 | 中 | ○ |
100円ショップで手に入るものも多く、
- すべり止めシート
- 隙間埋め用のクッションテープ
- 簡易な扉ロック
などは、まず「お試し」の意味でも取り入れやすいアイテムです。ただし、安価なものほど耐荷重や粘着力の限界もあるので、重い家具の固定はきちんとした耐震グッズと組み合わせて使う方が安心でしょう。
停電にも強いキッチンへ──フェーズフリーの備え方
ここまでの対策は、主に「揺れによるケガ」を減らすものです。ただ、実際の地震ではその後の停電や断水も大きな問題になります。
フェーズフリーという言葉は、「平常時と非常時のどちらでも役に立つモノやサービス」を指します。大規模な災害が多い日本では、日常生活の中で普通に使っている道具が、そのまま非常時の備えになることが理想とされています。
例えば、夜間に大きな揺れが来て停電した場面を想像してみてください。
- 足元の様子がわからず、割れたガラスを踏まないか不安
- 冷蔵庫が止まり、中身が傷まないか心配
- スマホの充電が切れそうで、家族との連絡や情報収集に支障が出る
こうした「その後の困りごと」に、ポータブル電源が役立ちます。

BLUETTIのAORAシリーズのようなポータブル電源なら、普段はリビングで家族のスマホやタブレットの充電、ベランダでの簡易照明やアウトドアに使いつつ、いざというときには非常用電源としてすぐに切り替えられます。AORAシリーズ全体の強みは、日本専用設計で操作パネルが日本語対応。環境に優しいデザインも、日常使いを促進します。
- 例えば、コンパクトなAORA 80(約768Whで、通常は1000W出力、Power Lifting Mode(ピークモード)で最大2000Wが可能)は、キッチンでの簡易照明やスマホ充電に最適。普段はベランダでのアウトドアユースとしても活躍します。
- 一方、AORA 100(1152Wh容量、定格1800W・サージ2700W)は、冷蔵庫や電子レンジの短期稼働をカバー可能。LiFePO4バッテリー採用で10年以上の長寿命と安全性が高い点が魅力です。
- さらに進化したAORA 100 V2は、最大1000Wのソーラー入力に対応し、停電時に太陽光で急速充電が可能。USB-AやDC出力ポートも充実しています。
食器棚の耐震対策と一緒に、こうした電源の備えも整えておくと、「揺れに耐える」「停電しても生活を回せる」という二つのフェーズに対応しやすくなります。まさにフェーズフリーな備え方と言えるでしょう。
家族で確認したいチェックポイントと日々の習慣

地震対策は、一度やって終わりではなく「暮らしに馴染ませる」ことが大切です。家族で、次のようなポイントを定期的に確認してみてください。
- 食器棚や冷蔵庫の上に、段ボールや家電を積み上げていないか
- 子どもでも届く位置の扉に、扉ロックや耐震ラッチが付いているか
- すべり止めシートが劣化していないか(ベタベタしてきたら交換)
- 避難経路になる通路に、背の高い家具や大きなゴミ箱を置いていないか
- ポータブル電源のバッテリー残量は十分か、半年に一度は充放電しているか
高齢者や家族向けに、子どもが届く位置の扉に児童用ロック(耐震ラッチ兼用)を優先的に取り付けましょう。小さなアパートでは、背の高い家具を避け、壁掛け棚やコンパクトな固定具を選ぶとスペースを有効活用できます。例えば、老人ホームのような狭いキッチンでは、転倒防止ベルトを床置き家具に限定して安全性を高めます。
また、週末の片付けタイムに「今日は下段の重いものを見直そう」「来週はガラス扉にフィルムを貼ろう」というように、少しずつ進めていくのもおすすめです。一気に完璧を目指すと疲れてしまうので、1か所ずつ、できたところから安心を増やしていく感覚で取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ──「倒れない・飛び出さない・暗闇でも動ける」キッチンへ
最後に、ポイントを簡単に整理します。
- 食器棚の地震対策は「本体の固定」「中身の収納」「ガラスの飛散防止」の三本柱
- L字金具やベルト、突っ張り棒、耐震マットなどを組み合わせて、倒れにくい状態をつくる
- 重い食器は下段へ、ファイルボックスやすべり止めシートで「揺れても崩れにくい収納」にする
- 扉ロックや耐震ラッチ、ガラス用の飛散防止フィルムで、落下やガラス破片によるケガを減らす
- 停電を見据え、普段から使えるポータブル電源を備えておくと、フェーズフリーな防災につながる
食器棚まわりの安全性が高まれば、揺れそのものへの不安も少し和らぎます。「まずは足元のすべり止めシートから」「週末は扉ロックをつけてみよう」など、小さな一歩から始めてみてください。結果的に、毎日の使いやすさも非常時の安心も、同時に底上げされていくはずです。
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