朝から汗ばむ七月の空気に潮の香りを運ぶ南風が混ざると、鎌倉駅のホームはいつもより少しざわつきます。改札を抜けた瞬間、海へ向かう人波の足取りは軽く、揺れる浴衣の裾が夏の訪れを告げます。年に一度だけ咲く"水の上の花"を追いかけ、地元の方も旅人もそれぞれの作戦を胸に砂浜へ向かう光景こそ、鎌倉の夏が本番を迎えた合図です。
今年こそ、混雑や天候の不安を味方に変え、思い描いたベストショットと忘れられない轟音を手に入れませんか。次章からは作戦会議の始まりです。まずは花火大会の全体像を押さえ、風向きと人波を味方につける下準備に取り掛かりましょう。
鎌倉花火大会2025の開催日・打ち上げ場所・見どころとは?
潮の香りが濃くなる七月半ば、古都・鎌倉の海辺は昼過ぎからそわそわと色づき始めます。2025年の鎌倉花火大会は7月18日(金)に開催予定。打ち上げ数はおよそ2,500発、時間は19時20分から20時10分まで、約50分間のショーです。
名物は水中花火。海面下で弾ける花火が半球状に広がり、同時に水面へ映り込む「逆さ半球」が出現するさまは、内陸の大会ではまず見られません。打ち上げ船は材木座海岸寄りの沖合およそ三百メートル。風向きで煙の抜けが変わるため、観覧場所を柔軟に決められる下調べが成否を分けます。
混雑ピークは十八時半。由比ヶ浜の砂浜は敷物が隙間なく敷き詰められ、砂浜後列は潮が満ち始める二十時前後にじわじわ水没する年も。観覧プランと撤収ルートをワンセットで考えておきましょう。
同时、7月は梅雨・台風シーズンでもあります。荒天時には、会場準備が中止になる可能性があります。そのため、公式サイトや市役所の更新を定期的に確認し、ホテル予約などをする際はキャンセルポリシーも必ずチェックしておきましょう。
定番ビーチと穴場を比較してベストビューを確保
鎌倉の海岸線は、わずか四キロの短いリボンのような砂浜です。視界・混雑・アクセス――三つの尺度で眺め直すと、観覧エリアは次の三タイプに落ち着きます。
① 正面ビーチで迫力を浴びる(由比ヶ浜・材木座)
海上300mの打ち上げ船と真正面で向き合える王道ポジション。
由比ヶ浜海岸
屋台がひしめき臨場感は満点。国道134号の歩道スロープを使えば車イスでも浜辺手前まで段差ゼロで進めます。
材木座海岸
水中花火が近く、カメラ好きの聖地。浜幅が狭いのでベビーカーは背後の木道デッキ確保が吉。
② 江ノ島方向から遠景と夜景を両取り
七里ガ浜~稲村ガ崎にかけては海と街灯りをワイドに収められるロングショット。七里ガ浜テラスモール屋上は、エレベーターやオムツ替え台が完備されているため、子連れでも安心です。
③ 高台や路地の"抜け"を狙うマニアックルート
裏坂や歩道橋から半球花火を"のぞき見"する通好みコース。足元が暗いので小さな子にはヘッドライト必携。
こうした定番エリアに加え、混雑を避けてゆったり楽しめる"穴場"スポットも多数存在します。以下に、おすすめの「穴場トップ5選」を紹介します。
稲村ガ崎公園(芝生斜面)
緩やかな斜面に腰をおろすと、江ノ電の灯りと花火の半球が一枚のキャンバスに重なります。芝が厚くレジャーシート一枚でも腰が冷えず、スロープ経由で車イスも入園可。ただし駐車台数はわずか15台です。
七里ガ浜テラスモール屋上
レストランのテラス席で、潮風を浴びながら乾杯。屋根の張り出しがあるので雨でもベビーカーごと観覧できます。コース料理は3,000円から、ドリンクは700円前後が目安。
西鎌倉駅裏の坂道
坂を上り切った瞬間、民家の屋根越しに夜空がパッと開く"抜け"ポイントが点在。車道と歩道が狭く車イスは不可。乳児連れは抱っこ紐が安全です。
江ノ島ヨットハーバー防波堤
潮風が心地良く、三脚を据えても通行の邪魔になりにくい広さ。手すりが低めなので車イスからでも視界良好です。ゲートは21時に閉まるため帰路は徒歩20分を見込んで。
大仏坂切通しハイキング道
樹間を抜ける風に乗って、花火の低い炸裂音が響きます。木漏れ日の道は幻想的ですが、雨の日は滑落リスクがあるので無理は禁物。虫よけスプレーを忘れずに。
夏の香りを楽しむ屋台グルメ──おすすめメニューと買い方のコツ
花火の打ち上げは夜ですが、屋台のピークは夕方。十七時台に鎌倉駅周辺で買い込み、タクシーや江ノ電で観覧地へ移動するのが行列を避けるコツです。地元食材とアレンジメニューが多いのも鎌倉花火の楽しみ。
ジャンル | メニュー | 価格(目安) | コメント |
海鮮 | 炙りホタテガーリック串 | 1本600円 | バーナー炙りで磯の香りとバターの甘みが際立つ |
肉 | しらすコロッケバーガー | 単品410円 | 釜揚げしらすの塩気が夏のビールに◎ |
甘味 | わらび餅ドリンク | 500円 | とろり食感で歩きながらでもこぼれにくい |
変わり種 | 鎌倉ビールフランク | 700円 | 麦芽香るソーセージで"大人ピクニック"を演出 |
衛生面は夏本番。保冷バッグに凍らせたペットボトルを仕込んで"簡易クーラー"化するだけで食中毒リスクが段違いに下がります。
アクセス&駐車テク:混雑知らずの「時間差ルート」公開
当日は15時を境に国道134号が片側交互通行になり、17時には実質"歩行者天国モード"。ハンドルを握った瞬間にメーターが動かなくなる――そんな光景を毎年目にします。お車で鎌倉入りされる場合は「浜に近づくほど動かなくなる」と割り切り、湘南深沢駅北側(藤沢街道沿い)もしくは大船駅東口周辺のコインパーキングに午前中のうちに駐車しておくのが現実的です。深沢エリアなら最大料金が900〜1,100円、大船でも1,200〜1,500円で打ち止めになりますので、繁忙期特有の"3時間で3,000円"といった海辺料金を避けられます。
江ノ電で海岸に向かうなら「のりおりくん」(大人800円・子ども400円)を買っておくと往復より得。由比ヶ浜⇄鎌倉は片道200円・約3分なので、2区間以上乗る予定なら元が取れる計算です。
バリアフリー動線
・大船駅→江ノ電乗換
JR改札からエレベーターで地下通路へ。段差なしで江ノ電ホームに上がれる。
・長谷駅
改札外トイレに多目的ブースあり。スロープで国道134号に出られるので車イスも安心。
花火後の混雑回避ルート
・Option A:長谷駅から北上徒歩22分
長谷→鎌倉間を歩くと渋滞を横目にスムーズ。途中の極楽寺坂は提灯ライトアップで雰囲気抜群。
・Option B:七里ガ浜→大船行き深夜バス23:05発
江ノ電が詰まったら国道134号沿いの"臨時バス停"へ。ベビーカーは折りたたまず乗車可。
駐車料金の目安
エリア | 最大料金 | 30分料金 | 車イス用区画 |
湘南深沢駅北側 | 1,100円 | 200円 | 1〜2台 |
大船駅東口 | 1,650円 | 330円 | 3台以上 |
鎌倉駅に着いたら、小町通りのテイクアウト専門店で鎌倉コロッケや抹茶ラテなどを調達し、電車を一本やり過ごしてから乗車すると、座席と夜食を同時に確保できます。また、大船まで戻るルートには深夜バス(京急・富士急共同)の臨時便が例年運行されますので、終演後に雨が降り出すなど江ノ電が遅延した場合は、七里ガ浜→大船駅行き23:05発の最終便を「最後の保険」として覚えておくと安心です。
花火大会をもっと快適に!おすすめ持ち物と便利グッズ
夜の海岸はロマンチックですが、スマホのバッテリー残量ゼロ、海風で体が冷える、子どもが「ヒマ!」と騒ぎ出す――この3連コンボが発生すると、一気にストレスフルな夜になりかねません。そこで頼りになるのがポータブル電源。花火大会の夜、ポータブル電源があればスマホ充電や風の冷たい浜辺での照明に便利です。また、普段のレジャーアイテムとしても使えるので一石二鳥!
BLUETTIのポータブル電源は、日常使いはもちろん、非常時にも便利に使えるアイテムやツールで、どんな状況にも対応できる設計となっています。300-700Wh程度の軽量モデルは、持ち運びやすく家族レジャーに最適です。
今回は、花火大会にぴったりな2つのサイズを選びました。これらのポータブル電源は、頼もしさが際立ちます。LEDランタンや携帯電話の充電に便利なだけでなく、非常用電源としても活躍できます。
AORA 30 V2(288 Wh/600 W)
片手で運べる約5kgの軽量タイプです。スマートフォン2台とLEDランタン、卓上ファンを5時間使用しても、バッテリー残量は3割ほど残ります。帰りの電車内でも安心して動画を楽しめますので、バッテリー切れの心配はありません。
AORA 100(1,024 Wh/1,800 W)
急速充電に対応しており、家庭用コンセントなら約1.5時間で満充電が可能です。ポータブルプロジェクターやBluetoothスピーカーを接続すれば、3時間の"ビーチシアター"を楽しめます。電子レンジも使える高出力なので、停電時でも温かい食事を用意できます。
おすすめホテル&ゲストハウス──渋滞回避と夜景独占
由比ヶ浜の海沿いにはバルコニー付きゲストハウスや古民家ホテルが点在。チェックイン後にビーチへ徒歩十分、観覧後は人波を横目に徒歩で戻れる快適さは泊まり組だけの特典です。
・スラムズブルックハウス(由比ヶ浜)
全室オーシャンビュー。朝食は地元ベーカリー直送のフォカッチャ。
・晴耕雨読(材木座)
屋上ラウンジで波音を聞きながら日本酒バータイム。
・岩本楼本館(江ノ島)
創業江戸時代の老舗旅館。洞窟風呂と花火の組み合わせは唯一無二。
予約は三か月前の月曜朝十時が取りやすいタイミング。キャンセル待ちアラートも活用を。
よくある質問
Q. 水中花火はどこに落ちるのか
A. 材木座寄りの沖三百メートル前後。北風なら由比ヶ浜中央、南風なら材木座端がクリア視界。
Q. 屋台は何時に閉まるのか
A. 若宮大路は二十二時、海岸線は二十一時撤収。ラストオーダーは二十時半目安。
Q. トイレ混雑のピークは
A. 終了十分前と終了後一〇分。十九時前に一度済ませ、終演後は二十分ほど待つと空く。
Q. 小型ドローンは飛ばせるか
A. 打ち上げ区域半径三百メートルは全面禁止。離れた高台なら飛行可能だが国交省許可必須。
まとめ
1. 風向と水中花火の位置を読んで観覧地を柔軟に決める
2. 屋台を活用し十七時台から海辺ピクニックをスタート
3. ポータブル電源で「暗い・寒い・電池切れ」の不安を皆無に
この三拍子がそろえば、鎌倉花火は「人が多すぎて疲れた夜」から「家族史に残る大冒険」へ変貌します。ライトアップされた大仏と花火を背景に撮った一枚は、次の世代まで語り草。
次の休み、カレンダーの7月18日(金)に赤丸を付け、ポータブル電源は今から満充電指定。鎌倉の海風に吹かれながら、あなたの夏が新しいページをめくる音を聞きに行きましょう。