まずそれぞれの料金を比較しましょう。
とは言え、エネルギー単位の異なる電気とガスの料金を比べられませんので、同じ土俵でくらべるためのルールを作ります。
お湯の温度を1℃上げるために必要なエネルギーは1kcal(キロカロリー)です。
ガス料金の単位である「1㎥(立法メートル)」は9,700kcalなので、1kcalは約0.0001031になります。電気の単位(kWh)は『1/860kWh=1kcal』なので、電気の1kcalは0.00116kWhであることがわかります。
この共通の1kcalを基準にして、水1リットルを20℃→100℃に沸騰させた場合のそれぞれ必要なエネルギー量は、
・ガス … (100-20=80℃)×1kcal=0.0001031㎥=0.00825㎥
・電気 … (100-20=80℃)×1kcal=0.00116kWh=0.0928kWh
となります。
これを、それぞれの一般的な料金に当てはめてみると、
・ガス … 199円/㎥×0.00825=1.64円 |
となります。
わかりやすく100倍の100リットル沸かすとすると、ガス164円:電気287円となり、電気の方が1.75倍割高であることがわかります。
オール電化と電気・ガス併用を比較
前項で電気とガスで水1リットルを沸かす料金は1.75倍の差があることがわかりましたが、だからといって電気ガス併用の方が必ずしもコストが少なく済むとはいいきれないのです。
オール電化とガス併用のメリットとデメリットを確認しましょう。
オール電化のメリット
割高な電気料金だけが発生するので、とても低コスパになるようにも思えますが、「オール電化」のメリットにはこんなことがあります。
(1)電気の分しか基本料がかからない
(2)火気を使わないので火災のリスクが低い
(3)災害時の復旧が比較的早い
(4)エネルギーを自給できる
基本料金を一本化できる
電気ガス併用の場合は、電気・ガスそれぞれの契約が必要で、それに伴って両方の基本料金が発生します。
ちなみに東京ガスを電気ガス併用で利用している筆者の場合、電気基本料金1,144円、ガス基本料金759円で合計1,903円がかかっています(8月実績)。
工夫しても減らすことができない固定費の基本料金が2つ分かかるのは、ガス併用の最大のデメリットであり、反面オール電化のメリットでもあります。
火災リスクが低い
火気を使用しないため火災リスクが低いことも特徴です。
もちろん漏電などでの火災はあり得ますが、火気を使わないことは確実に火災リスクを減じます。
災害時の復旧が比較的早い
大災害発生の際に地中配管にダメージが生じるとガスは復旧に非常に時間がかかります。ガス漏れの可能性のある配管は全体でガス供給を止めてしまうので、被害範囲も広範囲となりがちです。
電気の場合は送電線の多くが地上にあるため復旧作業がしやすいことや、小さなエリアに区切って送電を止められるため被害範囲が狭い範囲で済みます。
エネルギーを自給できる
電気は、個人でも電力を自給しやすいエネルギーです。
電力を自給することで、普段の電気料金を抑えることが可能ですし、ポータブル電源などに蓄電しておくことで停電時など必要な時に電気を使用することができます。
オール電化のデメリット
オール電化にも弱点があります。ガス併用では見られないオール電化特有の減少もあるので注意が必要です。
(1)設備導入時の高コスト
(2)日中のエネルギーコストが割高
(3)停電時の備えが必要
(4)新たに調理器具を購入する場合がある
(5)蛇口から出る水を飲料には使えない
設備導入時やメンテナンスにコストがかかる
オール電化は初期費用が大きい点が最大のデメリットです。
IHクッキングヒーターやエコキュート、蓄熱暖房器などのオール電化のための機器を揃え、設置工事を行う必要があるため初期費用の出費が大きくなりがちです。さらに定期的にメンテナンスも必要で継続的にコストが発生します。
日中の電気料金が割高
各電力会社が提供するオール電化向けの電力プランは、夜間に電気を使ってお湯をタンク内で沸かしておき、翌日の給湯に利用するエコキュートを活用したプランです。
そのため、夜間の電気料金を抑えた料金になっていますが、反面、日中の電気料金は割高に設定されており、家族がずっと在宅する家族がいるなどで日中に電気をよく使う場合には想定通りに電気料金を節約できないケースもあります。
停電時の備えが必須
オール電化は、エネルギーを電気だけに頼っているため停電が起きた際には代替エネルギーの利用がほぼ不可能なので、万が一の停電に備えておくことが重要です。
タンクに貯水した水は飲料に使えない
前述のように電気式給湯器はお湯をタンクに貯めておくため、タンクの中で銅や亜鉛が溶け込んでいる可能性があるため飲用には向きません。飲用のお湯はIHコンロなどで別途沸かす必要があります。
IHヒーターで使えない調理器具がある
従来ガスコンロで使用していた鍋やフライパン、ケトルなどの中にはIHコンロでは使用できない製品もあります。オール電化にした場合、そうしたキッチン用品の一部を買い替える必要がある場合があります。
電気・ガス併用のメリット
電気・ガス併用で利用する場合のメリットは以下があります。
(1)初期費用、設備費用が安く種類が豊富
(2)火力が強い
(3)都市ガスの場合は光熱費がお得
初期費用、設備費用が安く種類が豊富
オール電化と比べて利用されてきた年月が長いぶんだけ、選択肢が広く個人での調整がしやすい特徴があります。
また、機器を個別に購入できるため初期費用が安くすむ点もメリットと言えます。
火力が強い
火力の強さもガスのメリットです。調理も短時間で終わりますし、高火力ゆえに野菜を炒めてもシャキっとするなどのメリットもあります。また鍋やフライパンを煽ることもできます。衣類乾燥機もガス式は電気式に比べて短時間でカラッと仕上がります。
都市ガスの場合は光熱費がお得
冒頭の料金比較でもわかるように、ガスは高火力なのにエネルギーコストは割安です。
例えば同じファンヒーターでも、高火力のガスファンヒーターは短時間で部屋全体を暖めることが可能です。さらに、ガスは燃焼すると水蒸気を発生するため、加湿の必要がないため、加湿器の電力を消費しないぶん、さらにエネルギーコストは割安になります。
電気・ガス併用のデメリット
電気・ガス併用によるデメリットもあります。最も重視したいのは「リスク」です。一般的によく言われる「火災のリスク」以外にも注意すべき点があります。
(1)電気とガス、両方の基本料がかかる
(2)リスクが大きい
(3)自給できない
基本料が二重にかかる
電気とガスを併用すると様々なメリットがあることは確かですが、そのぶん、電気・ガスいずれも基本料金がかかるのは、家計的に大きなデメリットと言えます。
電力・ガスの自由化によって様々なセットプランが提供されて割安になったとはいえ、やはり使用量などで調整できない固定費であることが最大のネックです。
様々なリスクが隠れている
よく言われる「火災」のリスクは最も大きな不安材料です。ガス漏れによる爆発・火災事故の報道をよく耳にしますし、地中に埋設されているガス管の老朽化や大地震発生などによって配管の劣化も大きなリスクです。
また、閉め切った室内でのストーブなどの燃焼は酸欠のリスクもあります。さらに次項で紹介する「自給」に関連して、ガスボンベの長期保管や劣化によるガス漏れなどもガスのリスクと言えます。
自給できない
ガスは電気ほど簡単に自給することはできません。
ガスの供給が停止した際の個人レベルでの対応と言えば、ポータブル式のガスコンロやキャンプ用のガスバーナーなどとガスボンベの組み合わせ程度ですが、その使途は単に煮炊きができることに留まります。
スマホの充電や様々な家電への給電、照明、調理など広範な用途で利用できるソーラーパネルとポータブル電に比べると、自給の面で有利とは言えません。
エネルギー自給が可能なのは電気だけ
ガス併用住宅のデメリットでも述べましたが、エネルギーの自給が可能で容易なのは圧倒的に電気です。ソーラーパネルと蓄電池だけあれば、太陽光で発電した電力を貯めておき、好きな時に取り出して使用することが可能です。
また、使用する際にも火気を使わないので、火災や事故の可能性が低く安全面でも電気が有利であることは言うまでもありません。さらに、暖房や照明に使用した場合でも、閉め切った室内で使用しても酸欠の原因にならない点もメリットと言えます。
電力自給のメリット
では電力を自給することのメリットは何でしょうか。
(1)アウトドアレジャー等に電力を持ってゆける
(2)日々の節電になり電気料金の削減に繋がる
(3)災害や事故などの停電時に電力を確保できる
(4)CO2排出や温暖化などに寄与する
他のエネルギーに比べて自家発電による「自給」が容易です。
自ら発電・蓄電した電力は、アウトドアでのレジャーをより楽しく快適にするばかりでなく、スマホ充電や家電への給電などに使用すればグリッドからの電気使用量を減らして電気料金の削減が可能です。
また、災害や事故などによる停電時でもLEDランタンなどで明かりを灯すことができますし、調理器具があれば調理も可能です。
さらに、自給した分だけ火力発電による電気の使用を減らすためCO2排出や温暖化にも僅かながらでも寄与することとなります。
電力の自給=自家発電は簡単です。
ソーラーパネルとポータブル電源を接続してパネルを太陽に向けるだけで、誰でも簡単に電力を生み出すことができます。熱くもならず感電もしないので安全に電力を生み出せます。
電力自給におすすめ
例えばオール電化の一環として、自宅の屋根前面にソーラーパネルを設置して蓄電装置によって家中の電力を賄う方法もありますが、もっと小規模に手軽に電力を生み出す方法もあります。
それが携帯型の折りたたみソーラーパネルとポータブル電源です。
【おすすめポータブル電源】
ポータブル電源は電気を貯めて置ける装置「蓄電池」です。貯めて置ける電気容量や、家電に出力できる電力は機種により様々ですが、あまり小さいと電力が不足してしまいますが、逆にあまり大きすぎると重くなり機動性に欠けるようになります。
ここでおすすめするのは「ちょうどいい」容量と出力をもっている『BLUETTI AC180』です。
AC180は、今年2023年に発売されたばかりのニューモデルで、BLUETTI伝統のリン酸鉄リチウムイオン電池の性能をさらにブラッシュアップして採用、1,152Whの容量と、1,800Wの定格出力を持っており、なんと5年もの保証期間がセットされています。
1,152Whの容量は、例えば50Wの扇風機なら23時間超も回り続けますし、5,000mAhのスマホなら62回もフル充電可能な余裕の容量です。また出力に関しても充分で、壁のコンセントの出力は15Aの場合で1500Wなので、自宅で使用している家電のほぼすべてを使うことができる出力です。
自宅に蓄電用として移動せずに使用するなら、もっと大型の「AC300」や「AC500」といった大容量+高出力モデルがおすすめですが、アウトドアレジャーにも持ち出しつつ、節電や停電時の備えにも多角的に使用するなら「AC180」がベストマッチです。
【おすすめソーラーパネル】
ポータブル電源に組み合わせるソーラーパネルは、理想を言えば、前日消費した電気を1日で回復できることが重要です。そうでないと、容量は徐々に減少していずれ枯渇してしまうからです。つまり持続可能な自家発電とは「1日で充電量を回復できるソーラーパネル」を組み合わせることだと言えます。
そこでおすすめするのが「BLUETTI PV350」です。1時間に最大350Wもの電力を発電可能なPV350なら、計算上ではAC180の容量1,152Whをわずか3.3時間で満充電の状態に戻すことができます(※)。
※実際には発電量は天候や季節に影響を受けるため、およそ最大発電量の50~70%と見るため、60%と仮定するとAC180を5.5時間でフル充電することが可能です。