電気代の節約は、生活費をコントロールする上で避けて通れないポイントです。この記事では、地域の電力会社と新電力会社はどちらが安いのか、安い電力会社のランキングなどを紹介しています。そして、ただ安い会社を選ぶだけではない、節電や自家発電を通じた電気料金削減の戦略を解説します。
地域の電力会社と新電力会社の違い
電気代を節約するためには、まず地域の電力会社と新電力会社の間の根本的な違いを理解することが重要です。地域の電力会社は、政策的にその地域の電力供給の主要な担い手として長い間活動してきました。
一方で、新電力会社は電力市場の自由化に伴い新たに参入した企業で、多様なサービスや料金プランを競争的に提供している点が特徴です。消費者はより多くの選択肢から自分に合った電力サービスを選ぶことが可能になりました。
地域の電力会社について:旧一般電力事業者(旧一電)
画像参照:電気事業連合会
地域の電力会社、通称「9電力」とは、かつて各地域で電力供給を独占していた以下の会社群を指します。このリストに沖縄電力を加えた合計10社が「旧一般電力事業者(旧一電)」と称されます。
- 北海道電力
- 東北電力
- 東京電力
- 北陸電力
- 中部電力
- 関西電力
- 中国電力
- 四国電力
- 九州電力
この9電力は、連系線を通じて相互に接続する串刺し型の電力系統となっています。さらに、北海道、東日本(東北・東京)、西日本(北陸・中部・関西・四国)、九州の4つの電力市場に分かれています。この地域別の電力供給体系は、電力料金の設定にも影響を及ぼしており、消費者の電気料金に直接関わる重要な要素となっています。
新電力会社について
上記の「旧一般電力事業者(旧一電)」に対して、新規参入組の電力会社を新電力会社と呼んでいます。2020年4月の電力システム改革により、送配電の事業が分社化され、電力供給の競争が促進されました。この改革によって、自社で発電所を持たない企業でも、小売りを通じて電力市場に参入できるようになりました。
新電力会社は、電力を主に日本卸電力取引所(JEPX)から調達し、さまざまな料金プランを提供しています。2022年の時点で、JEPXを通じた電力の調達率は全国の電力需要の約36.3%に達しており、新電力会社の存在感が増しています。
地域の電力会社と新電力会社はどちらが安いのか?
地域の電力会社と新電力会社、どちらの電気料金がより安いのでしょうか?多くの新電力会社が「契約を変更することで電気料金を削減できます」と宣伝していますが、実際のところはどうなのでしょうか。
新電力バブルについての解説
2012年頃から、電力システム改革の一環として、経済産業省は従来の9電力会社に対して、発電量の約30%を日本卸電力取引所(JEPX)で取り引きするよう指示しました。特に、昼間などの需要が高い時間帯に供給されるミドル・ピーク電源に関しては、固定費を除外した限界費用での入札が推奨されました。
この方針により、自ら発電施設を持たない新電力会社にとって、9電力会社よりも有利な条件で電力を購入するチャンスが生まれました。この期間を「新電力バブル」と呼び、新電力会社の市場シェアは急速に拡大し、2022年3月時点で21.3%に達しました。
JEPX市場の価格高騰とその影響
新電力バブルは永続するものではありませんでした。経済的に厳しい状況にあった従来の9電力会社は、固定費を十分に回収できないため、コスト削減の一環として火力発電所の運転を次々と停止させました。これが原因で電力供給が不足し、日本卸電力取引所(JEPX)における電力価格が急激に上下動する事態が発生しました。この価格高騰により、新電力会社は電力を仕入れるコストが上昇し、販売するほど損失が拡大するという逆境に立たされます。
一方で、供給義務があるため、新電力は家庭への電力供給を続けなければならない状況に追い込まれました。結果として経営基盤が脆弱な新電力会社は市場から撤退せざるを得なくなり、新電力バブルは終焉を迎え、市場シェアも下落し始めました。
新電力が安くなる余地について
新電力会社が地域の電力会社と比べて安い電気料金を提供する余地には制限があります。主な理由は、新電力も従来の電力会社と同様に、市場から電力を購入しているからです。これにより、どちらも同じ条件下で電力を調達しており、結果として大きな価格差を設けることが難しい状況にあります。ただし、自前で発電施設を持っている、あるいは発電能力を拡大している新電力会社については、従来の電力会社よりもコスト面で有利になる可能性が考えられます。
安い電気会社ランキング
前述の通り、新電力会社が従来の地域電力会社に比べて著しく安価になる可能性は限定的です。この事実を踏まえ、ここでは地域電力会社の中で、特に料金が安い会社のランキングを紹介します。
地域の電力会社間の価格差
画像参照:電源のベストミックス(電気事業連合会)
各電力会社の電気料金は、電源構成(上図参照)や資源の調達方法によって大きく異なります。主要な発電方法としては、以下の4種類があり、これらの組み合わせが会社ごとの料金に影響を与えています。
- 火力(LNG、石炭、石油)
- 原子力
- 再生可能エネルギー
- 揚水発電
特に、火力発電のように発電コストが比較的高い方法を多用する電力会社は、料金が高めに設定されやすくなります。さらに、世界情勢の変動、円安、資源確保のための競争激化などが原因で、資源の調達コストが上昇すると、将来的に電気料金がさらに高くなる可能性があります。これは、燃料費調整額を使って値上げが行われます。
電気料金の未来予測:高騰するか、安定するか?
将来的に電気料金が上昇するかどうかは、各電力会社がどれだけ低コストで発電できる電源を持っているかに依存します。発電コストが低い電源を豊富に持つ電力会社では、電気料金の値上げ幅を小さく抑えることができるでしょう。
電気料金が安い電力会社:九州電力
この点で特に注目されるのが九州電力です。九州電力は、運転中の原子力発電所と豊富な太陽光発電などの再生可能エネルギー源を持っているため、比較的安価に電力を供給することが可能です。その結果、世界的な半導体企業であるTSMCなど、多数の企業誘致に成功しています。次に、泊原発の再稼働状況次第ですが、北海道電力も再生可能エネルギーのポテンシャルが高いため、電気料金を安く設定できる可能性があります。
電気料金が高くなる可能性が高い:東京電力
一方で、東京電力のようにベースロード(常時稼働する基幹電源)の比率が5%と低く、高コストの火力発電に依存している地域は、電気料金が高くなりやすい傾向にあります。さらに、再生可能エネルギーの割合が低いことも、コストアップの一因です。
例えば、九州エリアでは再生可能エネルギーが日中の電力需要の約60%を賄っていますが、東京電力ではその割合が約25%に留まっています。結果として、再生可能エネルギーの割合が低い電力会社では、将来的に電気料金が高くなる可能性が高いと考えられます。
節電と発電:根本的な電気料金削減策
新電力に切り替えても根本的な問題解決にはならないことがわかりました。また、地域間では電力料金が異なりますが、なかなか電気料金節約のために、引っ越しをするというのもかなりハードルが高いですよね。そこで、本質的な電気代の削減には、節電と自家発電が鍵を握ります。節電によって消費電力を減らし、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用することで、電気代をより効果的に削減できます。
節約について
節約に関しては以下の4点が重要です。
- 高効率なエアコンや冷蔵庫、LED電球などへ省エネ製品への買い替え
- 電力消費の大きいエアコンの使用方法を工夫する
- 給湯器の利用を減らす
- 室内の断熱を進める
具体的な節電方法に関しては「消費電力の計算から始める家庭の節電 電気代を賢く抑えるコツ」で解説していますので、参考にしてください。
太陽光発電システムについて
太陽光発電システムと言えば、広大な土地に設置された大量のパネルを思い浮かべるかもしれません。しかし、最近では家庭用にも手軽に導入できる小型の太陽光発電システムが登場しています。
お庭やベランダといった限られたスペースでも利用可能なポータブル電源とソーラーパネルを組み合わせることで、自宅で簡単に太陽光発電を始めることができます。初めは小規模なシステムからスタートし、その後は状況に応じて段階的にシステムを拡張することも可能です。
詳しくは、「家庭用ソーラーパネルの効果的な使い方:節電から防災まで」を参照して、どのように始めることができるのかを確認してみてください。
節電に活躍するポータブル電源とソーラーパネル
節電を助けるための優れた製品、BLUETTI AC300+B300をご紹介します。この製品の一番の魅力は、最大1.2kWhまで拡張可能なバッテリー容量にあります。例えば、電力会社の設定するピークシフト料金時間に合わせて、低料金時に電力を蓄え、料金の高い時間帯にその電力を利用するという戦略を取ることができます。
また、ご自宅で利用可能なスペースに応じてソーラーパネルを設置し、自ら発電することも、電源使用量を減らす効果的な方法です。従来型の屋根設置型とは異なり、BLUETTIのシステムは特別な工事を必要とせずに、簡単に設置できるため、どなたでも手軽に始められます。
BLUETTI AC300+B300の主な機能
モジュール式拡張性: 容量と出力の自由度が高く、家庭の電力ニーズに合わせてシステムをカスタマイズできます。
BLUETTIアプリによる遠隔管理: 状態の監視やAC・DC出力の切り替えなど、スマートフォンから簡単に操作可能です。
高速充電技術: ACとPV(太陽光)の同時充電により、最短50分で80%までの高速充電を実現し、迅速に電力供給の準備ができます。
多様な出力ポート: 16台のデバイスを同時に充電できる多様な出力ポートを備え、家庭内のさまざまな電子機器に対応します。
EPS(無停電電源装置)機能: 停電時にも20ミリ秒以内に自動で切り替わり、接続された機器を保護します。
まとめ
電気料金の節約に関心を持つことは、「安い電力会社ランキング」を検索することから始まるかもしれませんが、それだけでは解決策としては不十分です。本記事を通じて、電力会社の選択だけでなく、節電や自家発電といったより実質的な電気料金削減の戦略をご紹介しました。
持続可能な生活を目指し、電気代を賢く削減したい方々にとって、この記事が有益な情報源となり、BLUETTIが提案する節約戦略が一助となることを願っています