東京の夏を締めくくる多摩川花火大会には、例年50万人近い人が押し寄せ、会場周辺は身動きもままならないほど混雑します。けれど、少しだけ足を延ばせば、川風を感じながらゆったり鑑賞できる“穴場”がまだ残っているのです。本ガイドでは、その隠れスポットと当日を快適に過ごすコツを、現地目線でぎゅっと詰め込みました。
多摩川花火大会とは?─世田谷&川崎の開催概要と違い
世田谷たまがわ花火大会〈世田谷会場〉
開催日時と場所
2025年10月4日(土)18:00〜19:00。
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世田谷会場:二子玉川緑地運動場(東急田園都市線・二子玉川駅から徒歩約15分)
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川崎会場:高津区諏訪二丁目河川敷(東急田園都市線・二子新地駅から徒歩約15分)
両岸から約1万2千発がほぼ同時に打ち上がり、夜空が二重の光輪で満たされる――そんなぜいたくな光景を、都心から電車一本で味わえるのだから見逃す手はありません。
花火大会の三大魅力
1. 視界360度の“シンクロ花火”
世田谷側と川崎側が交互に打ち上げるため、左右どちらを向いても色とりどりの大輪。視線をさまよわせるうちに時が経つのを忘れます。
2. 開演前のステージショー
15時ごろからジャズや和太鼓がリレー形式で登場。「早く来すぎたかな?」と思う間もなく、音楽が始まり気分は一気にお祭りモードです。
3. 屋台グルメの多彩さ
焼きとうもろこし、川崎餃子、クラフトコーラなど約50〜60店。夕立のように漂うソースの香りは、もうそれだけで夏の記憶。
有料席と予約のヒント
席種 |
料金(目安) |
特徴 |
注意点 |
シート席(4名) |
22,000円 |
視界を遮るものゼロ |
荷物は区画内に収める |
テーブル席(4名) |
42,000円 |
飲食しやすい |
簡易イス持込不可 |
ペア席(2名) |
14,000円 |
リクライニング付き |
7/1発売、即完売傾向 |
ほかにイス席(1名 6,500円)や大型シート席(10名 55,000円)も用意されています。購入後のキャンセルは不可。荒天時は中止(順延なし)となる。その日も押さえられるか確認しておくと後悔しません。
無料エリアを快適に使う五箇条
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シートは当日朝(例年0時以降)に敷ける。風対策に水入りペットボトルで四隅を固定。
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14時に現地再訪して周囲を整頓。隣席とにこやかにあいさつ、これがトラブル防止の最短距離。
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16時台に屋台巡り。17時を回ると列が倍。
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18時前にトイレ。行列の最後尾でハラハラするより時間を買う気持ちで。
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ICカードの残高チェック。改札前でチャージ渋滞に巻き込まれないよう事前に済ませる。
川崎市制記念多摩川花火大会〈川崎会場〉
有料席と予約のヒント
右岸の土手にはペア席(2名 14,000円)、イス席(1名 6,500円)、テーブル付きマス席(4名 42,000円)などが用意されます。駅から近いぶん完売が早いため、川崎市民先行枠の有無を公式発表で早めに確認しておくと安心です。
無料エリア
二子新地駅寄りの河川敷は午前中なら十分なスペースが残り、シートを広げやすいのが魅力。高津せせらぎ公園や多摩川緑地など舗装された平坦地が点在し、ベビーカーや車椅子でも動きやすいのが世田谷側との大きな違いです。
特徴・魅力
対岸の世田谷側ステージを正面に眺められるため、花火の“裏側”までパノラマで楽しめます。駅前にスーパーやドラッグストアが揃うので、氷や飲み物を直前に補給できるのも便利。帰りは人波が二子玉川方面へ流れるため、溝の口方面へ向かうと混雑を避けやすいのも川崎側ならではです。
穴場スポットおすすめ【世田谷・川崎】
世田谷側のおすすめ穴場6選:静かに過ごせるスポット
宇奈根多目的広場
最寄り駅から30分以上歩くぶん人影はまばら。芝生に寝転がると多摩川を渡る風が頬をなで、遠い日の夏休みをふと思い出します。夕暮れには対岸の灯りが川面にきらめき、花火が始まる前から十分にフォトジェニック。
宇奈根球場
グラウンド外野のベンチに腰を下ろせば、フェンス越しの視界がすっぽり花火のスクリーン。帰りは上野毛駅方面へ歩くと人波が逆方向になり、驚くほど早く電車に乗れます。
玉川高島屋屋上庭園
ショッピングモールの冷房で体力を温存しつつ、屋上のウッドデッキで開放感を満喫。16時台のエレベーターは比較的空いているうえ、夕立をしのげるのも大きな利点です。
瀬田玉川神社前
鳥居の真上で大玉が開くたび「ゴォン」という音が胸に響き、思わず手を合わせたくなる荘厳さ。帰路の石段は暗いのでスマホライトを足元に向け、後ろの人も照らしてあげると感謝されます。
日体大坂(にったいだいざか)
坂道を途中で振り返ると、二子玉川の夜景と花火が1枚の絵に。三脚は腰の高さで固定すれば通行人の迷惑にならず、写真もうまく切り取れます。
コヤマドライビングスクール前
教習車のガラス壁面に映る“逆さ花火”は、知る人ぞ知る裏ワザ的アングル。フィナーレ後はスクール裏の細道を抜ければ、二子玉川駅の混雑を気持ちよくスルーできます。
川崎側のおすすめ穴場5選:アクセスと快適さで選ぶならこちら
多摩川遊園
芝生と遊具がそろい、子どもが飽きずに遊べるファミリー天国だ。土手の勾配がゆるやかでシートがずれにくく、寝転がれば視界いっぱいに大輪が広がる。川風が絶えず吹くため屋台の煙やソースの匂いがこもらず、長時間でも快適に過ごせる。
高津せせらぎ公園
木道のスロープがベビーカーや車椅子にやさしく、段差を気にせず河川敷まで下りられる。せせらぎの水音が心地よく、待ち時間も涼感たっぷり。煙が滞ったら上流側の芝生へ数歩移動するだけで視界がすぐに澄むのも嬉しい。
多摩川緑地/多摩川大橋
橋梁と花火を長秒露光で狙えば、“光の川”と“光の花”が一枚に収まり SNS 映え抜群だ。土手の舗装面が広く三脚を安定させやすいが、車道にはみ出すのは厳禁。橋脚付近は目線が少し高くなるので、人の頭を気にせず構図を決められる。
等々力緑地・せせらぎと親子広場
樹木が額縁のように花火を切り取り、写真好きには隠れた定番だ。芝生にシートを広げれば頭上の枝が日除けになり、日中の暑さをやわらげてくれる。野球場のナイターがない日なら駐車場に空きが出やすく、車で来ても安心だ。
丸子橋周辺
土手が広く平らで、折り畳み椅子やミニテーブルを余裕で設置できる。橋桁が視界を遮らない位置を選べば、フィナーレのワイドスターマインが頭上いっぱいに咲く。終了後は多摩川線「沼部駅」方面へ歩くと改札待ちゼロで、溝の口方面へ流れる人波とも逆方向になり快適だ。
穴場で快適に観覧するコツ──待ち時間を“夏フェス”化
1. 場所取りは“太陽と時計”で勝つ
午前10時にシートを敷いたら、スマホの方位アプリで西日を確認。17時以降に背中に日が回る位置なら眩しさ激減。ビルの影も利用すると上級者。
2. 暑さ&虫よけの小道具
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厚手アルミシート:ブルーシートの下に潜ませると背中が熱くならない。
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ハッカ油スプレー:汗ばんだ首筋にシュッ、ついでに虫よけ。
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瞬間冷却パック:カチッと折ってタオルで首を巻くと「ひゃっ」と声が出る涼しさ。
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双眼鏡10倍:低い仕掛け花火の細工まで見えて子どもが大盛り上がり。
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AORA 30 V2:USB扇風機✕2+LEDランタン5時間駆動。帰り道はスマホ30分急速充電。

3. 同行者別おすすめゾーン
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乳幼児連れ:高津せせらぎ公園東屋裏。段差ゼロ、授乳ケープも安心。
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小学生&写真好き親子:宇奈根球場ライト側外野。三脚OK、視界ワイド。
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シニア:玉川高島屋屋上、または丸子橋下流側舗装スペース。手すりがあり立ち座りラク。
4. 置きゴミゼロ宣言
コンビニ袋二重+ゴムバンドで臭い漏れ防止。帰宅後に家庭ゴミとして分別、気分も後味もスッキリ。
当日の混雑状況と回避ポイント
下記のざっくりタイムテーブルを頭に入れておくと、「今動くべきか、待つべきか」の迷いがぐっと減ります。
時間 |
混雑 |
行動指針 |
15–17時 |
屋台列&場所取り |
16時台に屋台、17時着席 |
18–19時 |
最混雑 |
トイレは18時前、席で待機 |
19:10–20時 |
駅集中 |
30分余韻→上野毛or高津駅へ |
・二子玉川駅は臨時改札が一方通行。帰りは北へ歩き上野毛駅を使うと早い。
・二子新地駅は改札一つ。武蔵小杉行きバスへ逃げる裏ワザも。
場所取り・駐車場情報――“陣地戦略”完全版
シート作戦(時間割)
0時設置→10時日陰確認→14時代表者常駐→16時屋台巡り→17時ステージ鑑賞。
駐車場のリアル
- ライズS.C.駐車場:19時入庫締切、22時まで出庫不可。
- 用賀IC付近コインP:上限1,200円/日+バス10分。
- 武蔵小杉パーキング:24h1,100円+電車4分。
自転車・バイク
- 無料臨時駐輪場:二子玉川緑地P(21時完全撤収)。
- バイクは丸子橋下流のコインP(500円)程度しか空きがない。
雨天順延時の撤収術
14時頃公式Xで順延発表。雨で濡れたシートは、四隅に傘を差してテント状に持ち上げると雨水が流れ落ちやすくなり、手早く畳めます。
路上パーキングの落とし穴
国道246号用賀〜瀬田間は18時以降駐車禁止。レッカー移動で罰金+盛り下がる――これだけは避けたい。標識を必ず確認。
世田谷たまがわ花火大会を写真に収めよう
フォトコンテスト
応募期間:10月5日〜11月10日。 ハッシュタグ「#世田谷たまがわ花火2025」でInstagram投稿。最優秀賞は2025年7月に発表予定(昨年はポータブル電源などが贈呈)。
スマホ派必勝テク
- ライブフォトONでベスト瞬間を後取り。
- 露出を−0.7EVに固定すると色が締まる。
- レンズをメガネ拭きで一度磨くと“モヤ”が激減。
カメラ派ディープ設定
シーン |
レンズ |
設定例 |
ポジション |
水面反射+半球 |
24mm |
f/11・ISO200・4秒 |
丸子橋中央 |
夜景+大玉 |
35mm |
f/13・ISO100・6秒 |
瀬田玉川神社前 |
望遠“炎の菊” |
85mm |
f/9・ISO400・1.5秒 |
日体大坂途中 |
煙に泣かない風向きチェック
15時発表の風向きピクトで北風なら川崎側、南風なら世田谷側がベター。
カメラマンのマナー
三脚に反射テープ、液晶輝度を下げる、シャッター音はサイレント。ささやかな配慮が“お互いさま”の空気を生みます。
電源切れゼロ計画
長秒露光はバッテリー大食い。AORA 30 V2をUSB-Cでカメラに直結し、撮影後はLEDランタンを点けたまま片付けOK。
花火大会に最適なポータブル電源 2選

AORA 30 V2 ポータブル電源
まずは小ぶりなAORA 30 V2。容量 288 Wh、定格 600 W と聞くと数字だけではピンと来ませんが、花火待機中に必要な電気をざっくり計算すると頼もしさが伝わります。たとえば iPhone や Android を 12 台フル充電してもまだ余力があり、その残りで USB 扇風機を 2 台まわしながら LED ランタンを点灯しても約 5 時間はバッテリーが切れません。重さは 3 kg 台で 2 リットルのペットボトルよりわずかに軽い程度、リュックに入れても肩がこらないので「電源は欲しいけど荷物は増やしたくない」というライトキャンパーや子連れファミリーにぴったりです。
AORA 100 V2 ポータブル電源
一方、夜通し遊ぶ気満々なら AORA 100 V2が本命。容量は 1,024 Wh、出力は 1,800 W と桁違いで、60 W クラスのミニ冷蔵庫を 13 時間動かし続けても平気。さらに 100 W のモバイルプロジェクターなら 4 時間上映できるので、花火が終わった後に河川敷で“即席シネマ”を開くなんて夢も叶います。しかも両モデルとも安全性の高い LiFePO₄ バッテリーを採用し、充放電サイクル 3,000 回以上。普段は家でノート PC の母艦として使い、いざ停電やアウトドアとなれば頼れる相棒になる――まさにフェーズフリーを体現する 2 台です。
まとめ
二子玉川の多摩川花火大会は、アクセス良し・迫力良し・夏の思い出作りにこれ以上ない舞台です。穴場情報と混雑回避術を押さえれば、暑さも列も怖くない。ポータブル電源で快適さと安心を上乗せし、見上げた夜空に二重の光輪――その瞬間、頬をなでる風まで特別に感じるはずです。ゴミを持ち帰り、隣人に「お疲れさまでした」と声をかけて、今年いちばんの夏を締めくくりましょう。