大規模災害が予想される中、「防災士の資格にはどんなメリットがあるのか」「初心者でも取得できるのか」と疑問に感じていませんか?
本記事では、防災士資格の取得方法や費用、メリットや資格を活かせるシーンまでを網羅的に解説。防災士の資格で得られるメリットを正しく知り、自分や家族、地域を守る力となる資格取得を目指してみてはいかがでしょう。
防災士の資格とは?どんな人がなれる?
防災士は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、2003年に創設された日本防災士機構が認定する民間資格です。被災地での市民の自助・共助活動が高く評価され、「防災は行政任せではなく、市民一人ひとりが担うべき」という認識が広がったことが背景にあります。防災士制度が社会的に注目を集め、発展する大きなきっかけとなったのは2011年の東日本大震災です。この未曾有の大災害では、行政による公助だけでは対応が追いつかず、自助・共助の重要性が改めて認識されました。国内外で自然災害が頻発する近年、防災意識の高まりとともに、この資格への注目度も上昇。防災士は一般人でも取得が可能なため、受講者数は右肩上がりで推移しており、2025年3月末日時点で全国の防災士認定者は319,547人に達しています。
出展:日本防災士機構|防災士認証登録者の年度別推移・男女別防災士数一覧
防災士に求められる基本的な理念として、日本防災士機構は次の3点を掲げています。
理念 |
1. 自助 |
2. 共助 |
3. 協働 |
基本指針 |
自分の命は自分で守る。 |
地域・職場で助け合い、被害拡大を防ぐ。 |
市民、企業、自治体、防災機関等が協力して活動する。 |
期待される行動 |
・防災や減災の知識と技術を身につける ・備えを怠らない ・継続的なスキルアップに努める |
・地域住民や職場の仲間と連携する中心となる ・指導的な役割を果たす ・災害への備えを周知する |
・地域の団体、NPOなどと積極的に関わり、防災訓練を行う ・「災害に強いまちづくり」をすすめる ・被災地への支援や救援活動にも尽力する |
防災士の資格を取得すると得られる4つのメリット
防災士の資格を持つことで、大規模災害が起きたときに自分自身や家族の命を守るための術を身につけられます。さらに、支援の輪を広げていける点も見逃せないポイントです。ここでは、防災士になることで得られる主なメリットをご紹介します。
【個人の成長】防災に関する正確な知識が身につく
日本は地震や台風といった自然災害が頻発する国です。そのため、日常生活の中で突然大きな災害に直面する可能性は常にあります。防災士の資格を通して、以下のような防災の基礎知識を習得できます。
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平常時に個人で行う備え
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災害発生時の適切な対応
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ライフラインへの影響とその想定
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地域社会での防災活動の仕組み
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災害の発生メカニズム
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災害情報の収集手段
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応急処置の基本スキル
巨大地震や津波などが発生した際、最初の対応を誤れば命に関わることもあります。まずは、自分の命を守る知識と技術を備えることが、自助の第一歩です。
【地域貢献】災害時に人々を正しい行動へと導ける
防災士としての知識や技能を身につけることで、非常時に周囲の人たちを安全な方向へと誘導する力が養われます。防災士になることで法的な特権や義務が生じるわけではありません。それでも、防災に関する知識を持つ者として、リーダーシップを発揮できる存在となるのは大きな意義です。冷静な判断と的確な行動が救助の輪を広げ、より多くの命を守ることに繋がります。
【地域貢献】防災訓練や教育活動に主体的に関われる
地域や職場と協力しながら、防災訓練や防災教育を企画・運営することができます。災害時の対応だけでなく、日頃の備えも防災にとっては極めて重要です。防災士が訓練や教育の場で正しい知識と技術を伝えることで、市民の意識向上に貢献できます。多くの自治体では、防災士の育成を「災害に強いまちづくり」の要と位置づけており、地域活動のリーダーに任命される例も増えています。地域社会と連携して、防災活動に積極的に関わっていきましょう。
【キャリア面】職種を問わず役立つ実践的なスキルが得られる
企業では、災害時の社員の安全確保や、事業の早期復旧に向けた対策が不可欠です。防災マニュアルの整備やオフィス内の安全対策、BCP(事業継続計画)の策定といった対応が求められています。防災士の資格を活かすことで、企業内の防災対策をより実効的に進めることができます。備蓄品の見直し、防災マニュアルの作成・共有、訓練の実施など、被害の軽減に向けた取り組みを率先して実施できる防災士の資格は、どの業界でも通用するスキルとして高い評価を受けられます。
防災士が活躍できる職場・求められる役割
防災士と聞くと、多くの方が「自治体の防災関連部門」や「教育現場」での活動を連想するかもしれません。しかし、防災士は防災に特化した職種にとどまらず、さまざまな分野の職場でその知識と技能を活かすことが可能です。
以下のような一般的な職場において、防災士としての知見が大いに役立ちます。
職場 |
主な役割・活動内容 |
福祉施設 |
避難計画の作成、防災研修の企画・実施 |
病院 |
患者の安全確保のための避難手順整備、防災訓練の実施 |
学校 |
教職員や生徒への防災教育、避難訓練の推進 |
企業 |
社内防災担当としてマニュアル策定や従業員教育を担当 |
防災士は、災害時の緊急対応だけでなく、平常時から職場や地域に防災意識を根づかせる役割も担います。特に、介護施設では年2回の避難訓練が義務化されており、防災士の資格があれば、より現実に即した実践的な指導が行えるでしょう。
活動事例ー防災士になった人たち
ここでは、防災士として認定された方々が実際にどのような形で活動しているのか、具体的な取り組みをご紹介します。防災士の本当の価値は、「資格を取得してから何をするか」にあります。以下の事例を参考に、自身がどのように資格を活かせるか、ぜひイメージしてみてください。
通常業務と結びつけて活動する
ITサービス企業である株式会社富士通エフサスの中谷明男さんは、BCP(事業継続計画)の構築や保守サービスの現場に従事しています。地震や水害後のシステム復旧経験をきっかけに、「災害に強い社会づくり」に貢献するため防災士資格を取得しました。現在は自宅マンション地域の防火・防災管理者として避難訓練を指導し、地域の防災対策にも積極的に関わっています。
地域の防災力を底上げする
長野県辰野町で防災士連絡協議会の会長を務める有賀元栄さんは、町民向けの「非常持出品セット」の企画・監修を担当しました。実際の避難所ニーズを反映させるため、町の危機管理担当と連携を重ねながら製品開発を行い、地域の防災力向上に寄与しています。避難所運営や防災訓練の推進にも尽力し、県内各地での講演活動も行っています。
防災士になるには? 資格取得の流れと費用
防災士資格取得までのステップ
防災士資格を手にするには、通常、以下の4つのステップを順番に踏む必要があります。なお、現職の消防職員や警察官、またはそのOBには、特例制度が設けられている場合もあります。
1|防災士養成研修講座の受講
まず、2日以上のスケジュールで実施される集合型の「防災士養成研修講座」を受けることから始まります。この講座は日本防災士機構の指針に基づき、以下の6章(計21講目)で構成されており、そのうち12講目以上の履修が求められます。未履修分については、レポートの提出によって補完します。
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第1章:災害発生のしくみ
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第2章:災害に関する情報
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第3章:公的機関や企業等の災害対策
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第4章:自助
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第5章:共助
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第6章:防災士制度
この講座は全国各地の自治体や大学、民間企業などで開講されているため、自宅や職場に近い会場を探して参加するとよいでしょう。
2|防災士資格取得試験に合格する
研修講座の最終日には、日本防災士機構が主催する「防災士資格取得試験」が行われます。内容は3択式の問題が30問出題され、正答率が80%以上で合格となります。試験の結果は、おおむね2週間ほどで自宅に郵送されます。
万が一不合格になった場合でも、追試の費用は発生しませんので安心です。ただし、新しい年度に再受験する場合は、最新版の教本を購入する必要がある場合があります。
3|救急救命講習の受講
続いて、自治体や消防署などが開催する救急救命講習を受講します。この講習の修了証は、防災士の登録申請時点から5年以内の発行日であることが条件となっているため、講座の前に受講していても問題ありません。講習の内容は、普通救命講習Ⅰと同等で、**心肺蘇生法やAEDの操作など、命を救うための基本的なスキルを習得します。**予約が早々に埋まることもあるため、事前にスケジュールを確認して早めに申し込んでおくと良いでしょう。
4|申請と防災士証の受け取り
最後に、日本防災士機構に対して「防災士認証登録申請」を行います。ここまでの3ステップをすべて終えていれば、申請料5,000円を支払うことで手続き可能です。
資格審査は認証委員会によって行われ、翌月末までには名前が「防災士登録台帳」に記載されます。認証後には、「防災士認証状」と「防災士証」が交付され、正式に防災士として認定されます。
防災士資格取得にかかる費用
防災士研修センターの公式情報によれば、資格取得にかかる費用の総額は以下の通りです。
項目 |
費用(円) |
研修講座受講料 |
50,728 |
資格取得試験受験料 |
3,000 |
資格認証登録料 |
5,000 |
消費税 |
5,072 |
合計 |
63,800 |
出展:防災士研修センター|資格取得費用について
資格試験料や認証登録料は、防災士研修センターを通じて日本防災士機構へ納付する形となっています。また、一部の自治体ではこれらの費用を全額または一部助成している場合もあるため、居住地の自治体に確認してみるとよいでしょう。なお、日本防災士機構の公式サイトには、助成を実施している自治体のリストも掲載されています。
防災士が推奨する8つの防災グッズ
これから防災士を目指す方はもちろん、防災に興味を持っているすべての方に役立つ、厳選された防災アイテムをご紹介します。これらの7つの備えがあれば、もしもの時にも落ち着いて行動できるでしょう。災害はいつ訪れるか分かりません。今のうちから対策を始めておくことが大切です。
1. 救急セット
災害が発生すると、病院が混雑したり、すぐに診療を受けられない事態が想定されます。そんな時、応急処置ができる救急セットを備えておくと安心です。以下のアイテムが揃っていると、けがへの初期対応に役立ちます。
- 三角巾
- 伸縮性のある包帯
- 使い捨てマスク
- ピンセット
- はさみ
- 体温計
- 消毒用の薬剤
- 絆創膏
- 滅菌ガーゼ
市販の救急セットを活用すれば、手軽に準備できますので一度チェックしてみてください。
2. 食料
災害後、物流が再開するまでには数日かかります。そのため、少なくとも3〜4日分の非常食を確保しておくのが理想的です。成人1人あたり、1日あたり2,000kcal程度の摂取を想定し、バランス良く備蓄しましょう。
おすすめの保存食:
- レトルト食品(カレー、スープなど)
- カップ麺
- 缶詰(魚、野菜、果物など)
- 乾パン
- パックご飯
ゴミが出にくいパウチ包装の食品を選べば、後片づけの手間も軽減できます。
3. 飲料水
農林水産省や消防庁の指針では、1人1日につき飲料用に1L、調理なども含めると合計3Lの水が必要とされています。そのため、1週間分の飲料水として1人あたり21Lを目安に確保しておくのが推奨されています。
さらに、手洗いや簡易シャワーなどに使う生活用水として、1人あたり10〜20Lを別途準備しておくと安心です。
4. ポータブル電源
停電が続く中でスマホや家電を使うには、ポータブル電源が頼りになります。ポータブル電源は、あらかじめ充電しておくことで、電源が使えない状況でも電力を確保できる便利なアイテムです。
中でもおすすめなのが、BLUETTI(ブルーティ)製のポータブル電源です。
- 日本専用設計のAORAポータブル電源をラインナップ
- 防災安全協会に認められた「防災製品等推奨品」
- 業界高水準の5年保証付き
- グッドデザイン賞を受賞(2021年)
BLUETTI AORA 100 大容量ポータブル電源 | 災害時にも日常と変わらぬ電力を
1時間の充電で1日分の電力が確保できる大容量モデル。地震の際には、AORA100 防災用ポータブル電源のUPS機能は停電をわずか20msで感知し、内部バッテリーから電源供給を開始します。最新リフト機能が電圧を調整することで、2700W以下の電熱製品(電気ポットやドライヤーなど)も使用可能に。1,152Whの大容量バッテリー搭載なら、以下のシーンで活躍します。
- 長期間の停電でもスマートフォンを最大58回充電
- 停電時の光となるライトも88時間も使用できる
- 寒さをしのぐ電気毛布を14時間も使える
長引く停電にも対応できるよう、太陽光ソーラーパネルでの充電も可能です。Charger 1と組み合わせて使えば、車で避難する間にも余剰電力を用いて充電ができ、避難先での電力を確保できます。
BLUETTI AORA 80 小型ポータブル電源:災害時に強いコンパクト設計
BLUETTI AORA80 小型ポータブル電源はよりコンパクトで軽量なモデル。最大2000Wの高出力機器にも対応できる「電力リフトモード」を搭載し、冷蔵庫や電気ケトルなど、災害時に最も必要な機器に安定した電力供給が可能です。コンパクトで持ち運びやすいのにパワフルなAORA80なら
- 最大45回のスマートフォン充電が可能
- 暑さに耐える扇風機を12.5時間使用
- 寒さに負けない電気毛布は9.7時間使用
など、地震の際にも大切な人との連絡手段を確保し、体調を維持することができます。
5. 携帯ラジオ
大規模災害では、電気が止まると情報が得られなくなる恐れがあります。スマートフォンも充電が難しくなるため、FMラジオ付きの携帯型ラジオを備えておくと、非常時の情報収集に重宝します。
おすすめは、ハンドルを回すことで発電できる手回し式。さらに、ライトやSOS信号、モバイルバッテリー機能を備えたモデルもあり、1台で複数の役割を果たしてくれます。
6. 現金
キャッシュレス決済が普及した現代ですが、災害で通信や電力が止まると、クレジットカードやスマホ決済が利用できなくなる可能性があります。そのため、非常時に使えるよう、1〜2万円程度の現金を用意しておくと安心です。
特に自動販売機や公衆電話などでは小銭が必要になる場面もあるため、硬貨もバランスよく含めておきましょう。
7. 簡易トイレ
断水が続くと、トイレの水が流れなくなります。衛生環境が悪化すると、健康にも影響が及ぶため、持ち運びができる簡易トイレの準備が不可欠です。
選ぶ際は、以下のポイントに注目してください:
- 臭いをしっかり抑える防臭性能
- 凝固が早く処理しやすいもの
- 使用後のゴミがコンパクトにまとめられる設計
避難所でも自宅でも使えるように、人数分を見越して備えておきましょう。
8. 衛生用品
避難所や自宅での避難生活に備え、清潔を保つための衛生用品も忘れずに備えておきたい防災グッズのひとつです。タオルやマスク、ウェットティッシュなどを家族の人数に応じて揃えておきましょう。
特に乳幼児のいるご家庭では、替えの紙おむつや消臭袋など、年齢に応じたアイテムも一緒にまとめておくと安心です。
主なアイテム一覧
- 歯ブラシ
- コップ
- ティッシュペーパー
- トイレットペーパー
- ウェットティッシュ
- マスク
- 液体タイプの歯みがき剤
- 防臭袋(消臭タイプ)
- タオル類
これらは避難時だけでなく、断水時にも役立つので、早めにセットを用意しておくとよいでしょう。
以下に「防災士の資格に関するよくある質問 (FAQ)」の各項目について、簡潔かつ自然な文章でライティングいたしました。
防災士の資格についてよくある質問 (FAQ)
Q: 防災士資格の有効期間はありますか?
防災士の資格には有効期限は設けられておらず、一度取得すれば更新の必要はありません。ただし、知識やスキルの陳腐化を防ぐためにも、定期的な講習や訓練に参加してアップデートを心がけることが推奨されています。
Q: 初心者でも防災士の資格を取れますか?
はい。特別な資格や経験がなくても、防災士の資格は誰でも取得可能です。講座では基礎から丁寧に学べるので、防災の知識がまったくない方でも安心してチャレンジできます。
Q: 資格取得後の収入アップは期待できますか?
防災士の資格そのものが直接的な収入増に結びつくことは多くありませんが、企業や自治体での防災担当としての信頼や評価の向上に繋がることがあります。また、講師活動や地域防災リーダーとしての役割を担う道が広がる可能性もあります。
まとめ:防災士の資格にはメリットが多い!
災害がいつ起こるか分からない今、防災士の資格は「自分と周囲を守る力」を身につける大きな一歩です。取得後は家庭・地域・職場など様々な場面で活かせる知識と行動力が得られます。いざという時のために、今こそ一歩を踏み出してみませんか?